5月 2023 - 楽農アカデミー

楽農アカデミー 初の講義と実習を実施しました。

「楽農アカデミー」の初の講義を5月13日、受講生24人が出席して神戸学院大学 有瀬キャンパスで実施しました。]

農業高校で教えた経験のある、神戸学院大学 現代社会学部の菊川裕幸講師が「農業の基礎知識」と題して、農業を取り巻く現状や自身の農業との関わり、農薬も化学肥料も使わない有機農業と、一定程度は使用する従来の慣行農業の違い、苗の選び方などについて講義しました。

菊川講師は、まず、「稲のことは稲に聞け、農業のことは農民に聞け」という農学者・農業経済学者で、東京農業大学初代学長も務めた横井時敬の言葉を紹介し、アカデミーのプログラムも「実学」重視の実践主義で進めていきたいとの方針を示しました。

有機農業と慣行農業のメリット、デメリットについては受講生に意見を聞くと、「果樹の栽培で農薬を全く使わない有機栽培は難しい。理想と現実は違う」「収益はまだわずかだが、信念を持って有機農業に取り組んでいる」などと、さまざまな立場や考えがあることが分かりました。菊川講師は環境への負荷や食料の確保など、考慮すべきさまざまな問題を指摘し、今後も受講生の間で意見交換していくことになりました。

さらに、肥料の3要素(窒素、リン酸、カリウム)と表示の見方や、良い苗と悪い苗の見分け方、野菜苗の畑の土への「定植」についても学びました。

午後からは、神戸市西区井吹南の農地に移動して、JA兵庫六甲の職員や井吹南営農組合に所属するプロの農家の指導で初の実習を行いました。

まず、農具の取り扱いなどについて説明があり、畝の谷上げ(畝と畝の間に落ちた土をクワですくい上げ、畝に戻す作業)を行いました。畝には「ブラックマルチ」シートを敷き、キュウリの苗を定植しました。他の畝にはミニトマトやトウモロコシを定植しました。それぞれの野菜で必要な株間の長さや植え方のポイントについて指導を受け、約40メートルにわたる15本以上の畝に野菜の苗を植え付けました。

トマト栽培の支柱立て、キュウリ栽培のネット張りなども終え、農業の基本作業を一通り行うことができました。少し冷たい雨に降られましたが、作物にとっては恵みの雨です。今後定植した野菜の管理を約2カ月間行い、高品質野菜の収穫を目指します。

楽農アカデミー開講式を神戸学院大学 有瀬キャンパスで実施しました。

楽農アカデミーの開講式が5月13日、神戸学院大学 有瀬キャンパスで行われました。

第1期受講生は34歳から76歳までの24人(男性16人、女性8人)で、開講式には全員が参加しました。

まず、しらくに(白国)高太郎神戸市議(垂水区)が開講に向けてJA兵庫六甲と神戸学院大学の橋渡しをした経緯を説明しました。続いて神戸学院大学の中村恵学長が「本学は『地域と繫がる』を(教育や活動の)キーワードとしています。楽農アカデミーは、開設準備が進む大学都市神戸の『地域連携プラットホーム』に、産官学連携の先行モデル事例として注目してもらえるはずです」と、あいさつで述べました。さらに、JA兵庫六甲の海妻俊一神戸西地区担当理事と神戸市の安岡正雄農政担当局長のあいさつが続きました。

最後に受講生を代表して、芦屋市でモモとブドウを栽培している槌賀みずはさんがあいさつし、「4年前まで人事の仕事をしていたのですが、大阪府柏原市のブドウ園を訪れた折り、とてもおいしいブドウを栽培されながら後継者がいないので来年で廃業すると聞いてショックを受け、農業をやってみたいと思いました。でも、個人でやるにはハードルが高く、農業関係の会社に就職しました。米作りも3年目です。農業は自分で一から栽培し、収穫すれば食べることもできるぜいたくで豊かな職業だと思いました」と、他業種から転職して農業を始めた動機と現状を紹介しました。さらに「日本の食料自給率は38%で、農業の担い手不足は深刻です。(アカデミーの開設で)みんながもっと気軽に農業に取り組むきっかけになればと思います」と語り、熱い期待と学ぶ意欲が伝わりました。